60スター西洋占星術
日本語版
BY TOKYO-TANUKI💛
袢(ba-n)60スター西洋占星術
"同志ラヴレンチイ" ③
第三章 黒板
トビリシの春は遅かった。
工場の中だけが、まだ冬のようだった。
始業前。
黒板には白い字が残っていた。
1+((1+0)+(1+1))×((1+0)+(1+0))=7
少し離れて、
1+((2)+(2))×((2)+(1.5))=15
その下。
> 15 = 5 + 5 + 5
誰が書いたのかは分からない。
工員たちが集まる。
「7か。」
「15だ。」
「5が三つ。」
誰かが笑った。
誰も括弧を見なかった。
始業の鐘が鳴る。
黒板の前に、一人の老人だけが残った。
若い工員が声を掛ける。
「何を見ている。」
誰も括弧を見なかった。
始業の鐘が鳴る。
黒板の前に、一人の老人だけが残った。
若い工員が声を掛ける。
「何を見ている。」
老人は黒板から目を離さなかった。
「生まれ方。数字の生まれ方だ。」
若者は笑った。
「十五は十五でしょう。何が違うんだい?」
老人は小さく頷いた。
「育ちもな。」
鐘がもう一度鳴る。
工員たちは持ち場へ戻っていく。
老人は最後に一度だけ黒板へ手を伸ばした。
指先が括弧に触れる。
白い粉が静かに落ちた。
白い粉が静かに落ちた。
(つづく)
Tanu-chan💓 TOKYO-TANUKI💛
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